去る3月5日(日)、京都は誉田屋源兵衛株式会社を会場に、「日本の美のかたち」をテーマとする形の文化会第66回フォーラムを開催しました。
形の文化会会員5名の研究発表の後、創業280年の伝統を持ちながら斬新な経営手法でご活躍の誉田屋源兵衛株式会社代表取締役・山口源兵衛氏による特別講演「染織文様の意味世界」。
山口源兵衛氏お示しの工芸帯に込められた手仕事の数々、日本の至宝、まさに極上の品々目に麗しく。
その後、古茶家「素夢子」にて懇親会という、充実した一日でした。
本稿では山口氏の講演、続いての懇親会について報告します。
特別講演「染織文様の意味世界」にて、もの作りに込められた物語を語る山口源兵衛氏。
手にしておられる作品はラピスラズリで柄を織り込んだ逸品。
黒字に白抜きの粋なお召し物は、井筒崩し紋様をアレンジしたもののようで、御上への抵抗の意ですな、と笑っておられました。
着物も帯も斯様にメッセージなのであります。
講演の後、お示しの品々を一目近くで見よう、もっと詳しく聞いてみたい、という聴講者に、惜しげも無く開示し、質問に応える山口氏。
研究会を繰り広げた板の間に面した中庭にあるひょろりとした一本の梅の木。
山口氏の講演を拝聴した後には、大きな意味をもってそこに据え置かれていることが伝わってきます。
講演内容は次号の「形の文化研究」誌にて報告したいと思います。
場所を移して、誉田屋さんから徒歩数分に位置する古茶家「素夢子」。
内容は韓国料理ですが、店舗空間は、インドから東アジアにかけて、日本も含む広範な地域から収集した資材、建材、家具、道具、部品などを見立てて構成されており、ひとつひとつの来歴について、山口氏直々にご紹介くださいました。
思わぬところに本来の用途とは異なる役割を与えられてこの世に存在しつづける、かつて人が何かを思い、作ったもの、はるばる海をわたり京の室町に辿り着いたものたちに囲まれて、今日一日を振りかえる和やかなひとときでした。
2017年03月06日
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