平成19年4月吉日
春爛漫の季節となりましたが、会員の皆様にはますますご清栄のことと拝察します。今年度の形の文化会大会・総会は以下の要領で開催いたします。遅くなりましたが、プログラムができましたので、あらためてご案内申し上げます。
わたしたちは、形の知覚、あるいは、形態の見え方を語ってあきることがありません。こうした用語がそのまま無批判に受けいれられるのは、いま眼の前にひろがる形の世界がそれだけ豊かだからでしょう。しかし、形はまた、ふかく長い時間をたたえてもいます。たとえば、わたしたちの前にいる脊椎動物の形は、遠い古世代の魚の形や呼吸を、いや、より素朴に体壁や膜の記憶を告げてもいます。かつて解剖学者の三木成夫は、それを「形のおもかげ」と呼びました。今年の大会では、かたちの相(すがた)として、記憶やおもかげの位相を検証することとしたいと考えております。
多数の皆様のご参加をお待ちいたします。会員外の方も是非お誘い下さい。
形の文化会会長 金 子 務
コーディネーター 前田富士男
(慶応義塾大学文学部教授)
形の文化会事務局 山口 義久
《記》
日 時 2007年4月28日(土) 午前10時〜午後5時
場 所 慶應義塾大学三田構内 第一校舎3階 134番教室
参加費 1,000円
懇親会費 5,000円(予定)
【2007年度 形の文化会大会(テーマ:「形をとらえる」)プログラム】
会長挨拶 金子 務(大阪府立大学名誉教授)(午前10:00〜10:10)
研究発表1 「浮世絵の非透視図に対する許容の文化的差異の研究(1)」
(午前10:10〜10:35)
久保 友香(東京大学先端科学技術研究センター助教)
研究発表2 「江戸時代の思想家の図」(午前10:35〜11:00)
出原 立子(金沢工業大学情報フロンティア学部講師)
研究発表3 「返り点のカッコ付き表示およびレ点の位置」
(午前11:00〜11:25)
湯城 吉信(大阪府立工業高等専門学校准教授)
研究発表4 「奇数の文化と偶数の文化」(午前11:25〜11:50)
西山 豊(大阪経済大学経営情報学部教授)
昼休み(幹事の方は幹事会にご出席下さい)(11:50〜午後1:00)
総 会 (午後1:00〜1:45)
講 演 「デザインの修辞法/形を超えた形の意味を取り寄せる」(午後1:45〜2:45)
黒川 雅之(黒川雅之建築設計事務所主宰、本会会員)
特別講演 「数字の形をめぐって」(午後3:00〜5:00)
伊東 俊太郎氏(東京大学名誉教授)
司 会:小町谷 朝生(文星芸術大学教授)
懇親会 午後5:30〜(会場未定)
講演者プロフィール
黒川 雅之 (本会会員):早稲田大学大学院理工学研究科建築工学 博士課程修了後、黒川雅之建築設計事務所設立。国際的に多彩な作品を発表。同時に数々のデザイン活動を主宰、教授(金沢美術工芸大学大学院)として教壇に立つなど意欲的な活躍が続いている。インテリアデザイン協会賞やグッド・デザイン部門賞など国内外の受賞歴も多数あり、ニューヨーク近代美術館などの永久コレクションに選定された作品も数多い。代表的な著書に『黒川雅之のプロダクトデザイン』(六耀社、1993年)、『八つの日本の美意識』(講談社、2006年)、『デザインの修辞法』(求龍堂、2006年)ほかがある。
特別講演者プロフィール
伊東 俊太郎氏:東京大学文学部哲学科卒業後、アメリカ・ウィスコンシン大学で科学史を専攻、博士号を取得。東京大学助教授、教授、国際日本文化研究センター教授を歴任、現在は麗澤大学教授。科学史研究者として国際的な評価を受ける一方、歴史を人類史的な視野から捉えようとする比較文明論を展開、日本科学史学会会長、国際比較文明学会終身名誉会長その他の要職を務めている。著書『比較文明と日本』(中央公論社、1990年)、『文明と自然 対立から統合へ』(刀水書房、2002年)ほか多数。
ラベル:形の文化
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